移民法改正で利害の生じる馬産業(アメリカ)
 

 米国議会の下院が全面的な移民制度改革に継続的に取り組んでいる中、馬産業の代表は自らの利益を守るためにロビー活動している。

 アソシエイテッド・プレス(AP)通信社は4月7日に、米国議会の上院は、「5年以上滞在していた違法移民に国内で今後6年間労働することを認め、居住申請を行える法案」を通過させることに失敗したと報じた。この法案は、2年から5年アメリカに滞在している違法移民に対しては、「今後3年間のうちに国境の入国地点に往かなければならないが、臨時労働者として直ちに戻ることができる」と認めており、「2年未満の違法者に対してはアメリカに戻るためにいったん出国し査証を得なければならない」と定めていた。2週間におよぶ議会の休会があけるまでこの法案は再上程されないだろうが、5年間以上滞在している150万人の臨時農業労働者のための新しいプログラムが提示される。

 上院の法案は基本的には馬産業が支持する「ゲストワーカー」制度(招聘労働者制度)を創設するものであるが、昨年末、下院議会が可決した法案は違法移民を犯罪者に分類するものである。

 馬産業は牧場、競馬場、調教場で年間を通し、外国人労働者に深く依存している。農業労働者に対する現行のH-2Aプログラム(訳注:外国からの臨時農業労働者を保護・確保するための滞在許可制度)は、雇用主に、移民ではなく臨時労働者として10ヶ月間だけ、外国人を招請することを認めている。

 4月4日、ワシントンD.C.で開かれたアメリカ馬評議会(American Horse Council, AHC)の諸問題検討会において、移民問題改革農業連合のクレイグ・レゲルブラッジ(Craig Regelbrugge)共同議長は、下院の方策は起こりつつある深刻な変化を知らせる、いわば、モーニングコールのようなものだと述べた。

 AHCは、アグジョブス(Ag Jobs)と呼ばれる上院の外国人農業従事者就業プログラム法案を支持しており、この法案は労働者に暫定的な地位の取得を可能にさせ、もし特定の期間アメリカで働いていたことを証明できれば、永久居住権の取得申請も認めるものである。

 政治的な情勢を考慮すれば、法案が最終的にどんな形をとるのかこれから分かることである。AHC のジェイ・ヒッキー(Jay Hickey)理事長は「我々自らがそのプログラムを作成できれば、必ずしも下院の案とそっくり同じにはならないでしょうが、諸状況を考慮するとこの法案はまあまあ良しとすべきでしょう」と語った。

 「我々の考える最高のプログラムは政治的に実現できないことは理解しています」とレゲルブラッジ氏は言った。

 12月に下院が可決した法案は抗議運動を引き起こした。国境防衛・テロ対策・違法移民管理法案と呼ばれる法律は違法滞在労働者を雇用する雇用主を厳重に罰するものとなるだろう。

 4月4日、ケンタッキー州ルイビルで、数百人のヒスパニック(中南米系の人々)が移民制度改革を推進するために連邦裁判所前で集会を行った。この集会を支援した一人の牧師は、「移民管理を強化するが、出稼ぎ労働者の受入プログラムも創設する」という上院法案を支持すると述べた。

 包括移民制度改革ケンタッキー連合会も、4月10日、レキシントンで同様の集会を持った。馬産業の関係者は、「国境の安全を強化することには賛成だが馬事業で重要な役割を占めている外国人労働者のための条項も設けられなければならないと思う」と語っている。


[The Blood-Horse 誌 4月15日「Industry has stake in immigration legislation」]

 
競馬は生れ変る必要がある(アメリカ)
 

 マグナ・エンターテインメント社(MEC)の常任副理事長兼最高業務執行責任者であるドン・エイモス(Don Amos)氏は、競馬は生れ変る必要があり、MECはその目標達成に向けて努力していると述べた。

 4月4日、エイモス氏はケンタッキー・サラブレッド牧場支配人クラブ(The Kentucky Thoroughbred Farm Managers’ Club)に対して行った説明の中で、南フロリダにある同社のガルフストリ−ムパーク(Gulfstream Park)再建計画は「競馬の再生を意味する」として次のように述べた。「競馬は偉大な歴史を持っており、ご存知のとおり、長年市場の独占を保ってきました。しかし、世の中は変化したのに競馬は後ろを見てばかりいて独占に失敗してしまい、市場開拓計画を発展させることを忘れました。わが社のヴィジョンは生のレースを使って世界に向けてインターネットの賭けを提供する会社となることです。私達はこのことに現在取り組んでおり、作業は進んでいます。私達が現在考えなければならないのは、競馬場が現代の消費者ニーズにどこで合致するかということです。私達は消費者が広い選択肢を望んでいることを知っています」。

 エイモス氏は、MECは施設を近代化し、サイマルキャストを世界規模に拡大し、技術革新によって会社の活動分野の改善に取り組んできたと言った。また同氏は、MECの固定資産、とりわけ競馬場の取得とインフラに対して行った10億ドル(1,150億円)以上の投資について言及した。その他に7,500万ドル(86億2,500万円)がメンテナンスに支出され、5億3,000万ドル(609億5,000万円)が最近の施設改善に投入され、合計(支出額)は16億ドル(1,840億円)となったと述べた。

 エイモス氏は、MECは競馬場が1年を通して週7日、1日8時間営業を可能にする新しいモデルの作成に試みるだろうと語った。

 同社のもう1つの目標として、同氏は馬房の収容能力と効率を高めることにも言及し、そうすることで出走頭数の最大化をはかる。そのために、新方針により各競馬場では持てる施設の生産性を確保するために月平均で1馬房1出走が要請されると述べた。「出走頭数が5頭から6頭だと、通常、発売収入は50万ドル(5,750万円)から65万ドル(7,475万円)となりますが、10頭立てになると110万ドル(1億2,650万円)に増加します。そして純益の50%はホースマンに回すことができます」と同氏は言った。

 3月14日、MECは就任1年でCEOのトム・ホッジソン(Tom Hodgson)氏が退任すると発表した。後任が決まるまで、このポストはフランク・ストロナーク(Frank Stronach)会長が兼務する。MECの9年の歴史の中で第6代目のCEOに選ばれるかどうかと尋ねられたエイモス氏は、同氏の能力から見て会社内部で信頼される静かなる存在として留まり、年をとっているので周りの人々を成長させるためのチームプレイヤーとして認知される方を望んでいると答えた。

(USドル=115円)


[The Blood-Horse誌 4月15日「MEC executive: Horse racing needs renaissance」]

 
追い込み小屋の大きさ(アメリカ)
 

 追い込み小屋(run-in shed、訳注:放牧地内の馬が自由に出入りできる避難小屋)は放牧している全ての馬を安全に収容できるに足るスペースが必要であるとザ・ホース誌の5月号でチャッド・メンデル(Chad Mendell)氏は書いている。それが小さ過ぎれば、おとなしい馬は小屋に入れなくなり外に立ち続けることになりかねないし、あるいは小屋の中でもおとなしい馬が強い馬から離れていられるだけの十分なゆとりが無いことになる。

 「一般に馬のために勧められている追い込み小屋のスペースは1頭当たり約75平方フィート(6.75u)です。それは100平方フィート(10×10フィート、3m×3m)の馬房よりは少し小さいですが馬は追い込み小屋の中では寄り添い合うからです」とアラバマ州オーバーン大学(Auburn University)のシンディ・マッコール博士(Dr. Cindy McCall)は言った。追い込み小屋の中で馬に必要なスペースはその地域の気象条件(厳しい気象条件下では小屋の使用頻度が高い)、小屋を使用する馬の大きさ、年齢(1歳馬は成馬より身体を寄せ合う習性がある)、気性(強い馬はより広い個別のスペースが必要)、性別などで異なる。

 馬にとって追い込み小屋のスペースが十分でないと分かったら、現在ある小屋を拡張する必要があるかもしれないし、新しい小屋を設けなければならないかもしれない。


[The Blood-Horse誌 4月29日「Shed size」]